-絶え間なく鍛えた者だけに栄誉が訪れる-

2008-09-04

2008北海道マラソンの反省-実施プランと試行の実際(データからの反省)-

いよいよ攻略法を試行する時が来た。
ながながと書いて来たが、攻略法は限りある持久力を有効に消費する「ペース配分」につきる。

実際のレース中のことは既に「僕の北海道マラソン-レース回顧-」に書いた。ここではレース中のデータ等から「数字の推移」に着目して色々と書いてみたい。

行ったトレーニングは、持久力を底上げするトレーニングが主だった。そして、これと平行してというか同時にというか「効率」を意識した練習をした。
ポールウォーク等トレーニングに関するオプションは限りある持久力を無駄に消費しない為の「効率」を求めたものだったし、暑さ対策をはじめとする「予測されるリスク」の排除は、結局のところ限りある持久力を無駄に消費(消耗)しない為の「効率」を求めたもの。そして、身につけたPolar S610iは限りある持久力を無駄に消費(消耗)しない為に監視する道具に過ぎない。

既に予想されるリスクに対する対策は終わっているのでレースで具体的に注意する点は

  1. ペースは心拍数で管理、160±5くらいで160にできるだけ近くにする。但し、最初の上り坂は165まで許す。
  2. 給水で止まるな。
  3. 給水はあまり飲むな。スポーツドリンク(アスリートソルト)で電解質を補充しろ。
  4. 身体の冷却に配慮しろ(水をかぶる。スポンジを上手に使う。汗処理に気を遣う)
  5. 重曹(20km過ぎ)、パワージェル(20、30km)の摂取タイミングを忘れるな
しかない。


いつもは左のPPPSWで出力した心拍計グラフを基に色々と適当なことを書き綴るわけだが、左データの信頼性(一見性)について疑問があるので列挙しておく。(いつもの通り画像データはクリックすると拡大される)

左図上、青ラインが今年5月25日の洞爺湖マラソンに於ける心拍数グラフ、これに赤ラインで8月31日の北海道マラソンに於ける心拍数の推移を重ねてみた。

測定ミスが多いグラフとなっている。原因はトランスミッターそのものというよりはトランスミッターを胸に密着?させるベルトが緩かったようだ。
ベルトは帯ゴム?になっているのだが、もう2年以上も使っているせいか「汗」等でぬれてしまうとゴムの復元力?が弱くなり、ベルトが縮まらないようになってしまっていた。単に通常の練習での汗ではなんとか問題ないので、修復(帯ゴムの交換)をサボっていたが、道マラで激しく水をかぶるのでゴムはその伸縮性を失ってしまったようだ。
胸にトランスミッターを付けるタイプの心拍計を使っているランナーはご存じだと思うが、ある程度胸に密着していないと計測される心拍数に異常値を含むことが多い。そういう事情があって赤ラインはギザギザとしている。

ただ、眺めているとなんとなくではあるが赤ラインが青ラインより高位(強度大)であり、後半の落ち込みも少ない傾向にあることが分かると思う。

このままではちょっと見づらいので、SportTracksではき出した平均心拍数推移のグラフとペースのグラフを使って反省してみる。
比較材料として直近のフルマラソンのデータである今年5月の洞爺湖マラソンのデータを掲載する。赤ラインが心拍数グラフ、青の棒グラフがLAPタイムである。
表1
左は洞爺湖マラソンのデータ。
一見した印象として
a.心拍数は速い段階で高水準に達している
b.心拍数は右下がり(だんだん低水準になっている)
c.LAPタイムの変動は大きくない
d.LAPタイムは左上がり(だんだん遅くなっている)
e.後半定期的に心拍数が急激に下がっている(立ち止まり給水していた)
表2

こちらが道マラのデータ。
f.心拍数はゆっくりと時間をかけながら上昇している
g.心拍数は右上がり傾向(だんだん高水準になっている)
h.LAPタイムの変動が大きい
i.心拍数が急激な変動が見られない。
j.心拍数の変動が緩やかではあるが、LAPタイムの変動は激しい。

これらの資料から、道マラ攻略法が生かされていたかを確認してみる。
平均心拍数からの評価
道マラの全運動期間中の平均心拍数は162であった。PPPSWのグラフの通りかなりの計測エラーを含んでいるが、洞爺湖マラソンの「158」よりは高位にあると思われることから「158~162」の範囲にあると思われる。単純平均で「160」を推計値とすれば。160のペース維持を目標にしていたので目標通り達成できたと評価できる。

ペース配分の評価(表2の検討による)
目指すペース配分は、スタート直後から5kmまでを特に慎重に進み、残りは160±5の範囲で走りきるというプラン。
特筆する部分の詳細は下記の通りであるが、スタートから30kmまでは上記設定範囲を保持することが出来たと評価する。
また、30km以降の高水準な心拍数については関門閉鎖時間とのせめぎ合いがあり、設定ペースを上回っしまったものであるが、おおむね160±5のレンジにあると読み取れる。
結果として、30kmまではイーブン、30km以降はインターバル風に上がっているが概ね右上がりになっており、ペース配分としては理想型に近づいていると思う。
洞爺湖マラソンの反省にichanさんからコメントをもらった「ichan的に見て、更に理想は、心拍は後半までイーブンで来て、ゴール前でピークに持って行けたら最高だと思います。」が期せずしてできたような感じがする。
  • スタートから青棒グラフ2本目までに160ちょいに跳ね上がっているが、1km過ぎから例の上り区間にさしかかっておりプラン通りの心拍数で抑制されている。
  • 棒グラフ6本目で165まで上がって、LAPタイムが6分付近まで落ちているがこの区間には給水所がある。ランナーは競って最初のテーブルに飛び込むような状態で現場はかなりドタバタしていた。給水所での要領がまだ分かっていなかったので、これに巻き込まれたのと、ここからの離脱で少々心拍数が上がってしまったのだと思う。その後、目標心拍数である160付近に落ち着いている様子がグラフから分かる。
  • 棒グラフ11本目手前から心拍数が160以下に下がっている。これは意図的に150台に落としたところ。トラブルがあったワケではない。
  • 棒グラフ11本目以降22本目(25km)まで心拍推移グラフは上下する。自然と上がった心拍数を抑える為にペースを落とすという作業を何度か行ったところであり、S610iを活用した対応ができていると思う。
  • 23本目以降26本目(29km)まで心拍数は減少し続ける。これは意図的にペースを落としたところではなく、なんとなく楽なペースで走っていたらこうなってしまったという油断の賜物。
  • 27本目(30km)からは迷いの連続だった。心拍数グラフにも迷いが現れて上下に揺れ動く。30km通過タイム(手元時計)は2:27:24だったのだが、ここから続く関門打ち切り銀座(30、31.6、33.7、35km地点)の関門時間が全然分かっていなかった。心拍数160ペースを5:20/kmと予測していたので「余裕」の筈で覚えておく必要がなかった。ところが第二折り返し地点を折り返して間もなく終末車の姿を見、「○○番歩道に上がって下さい」のアナウンスを耳にするとかなり焦って来た。しかし、ここは30km地点。壁は30kmで来るのか、32kmなのか、35kmか、37kmか...とこれから来るであろう「壁」の存在を意識しないワケにいかない。
  • 結局、こうした関門時間と壁の存在を天秤にかけつつペースを上げては下げる。「関門閉鎖まであと5分」のアナウンスでペースを上げて関門を通過、壁の存在を恐れてペースを落とす。を40kmまで繰り返さざるを得なかった。
  • 40km地点(右から2本目の棒グラフ)を手元時計で3:45:21で通過。7分/kmペースではサブ4は無理。ここまで壁らしい壁がなかったので、もし最後の2kmでガックリ来たらサブ4は無理。しかし、あと2kmサブ4目がけてダッシュするしかない。遠くにカナダさん(たぶんそうだろ)の存在が見えたこともあり、最後の頑張りには好都合だった。
従って、総評的には攻略法に書いた
  • 「関門には間に合う」という自信を持ち
  • スタートロスで慌てない。
  • 最初の5km(特に上り)は慎重に入れ。
  • 5~15kmの下りはいい気にならず、あまりペースを上げるな。
は見事に実現できており、目標である
北海道マラソンをサブ4で歩かず完走する
が達成できた。
昨年僕が妄想ともいえる「北海道マラソン攻略法-私的考察-」はまんざらハズレではないことが実証できたと(過大)評価しておく(笑)。

また、
に書いた「対策」や「効率」化の為の施策は十分に効力を発揮してくれたらしく、想定されたリスク(高気温、痙攣、痛み(手の指関節、足の小指外側、膝))は発生せず、まるでなにも無かったかのように完走できた。この事をもって、僕のやってきたことの妥当性を声高に主張するつもりはさらさらないが、次にあげる現象が単なる偶然だと一笑に付す勇気を僕は持ち合わせていない。

それは「試行にあたって考えた具体的なトレーニング方法」の中で1/1000の効率アップについて言及した。
自分の意識した「効率」アップの10項目を例示し、
フルマラソンは42.195km=42,195mです。42,195m×10/1000≒420m
僕は500mを120secで走ることができますので、約1分40秒速く走れる計算になります。
と書いた。僕のゴールタイムは3:58:14。キッチリと計算通りになった。
痙攣対策としてスタート前に重曹を服用し20km以降でもこれを服用したが、包んである袋の素材が水に弱いセロファンのような素材であった。冷却用に水をかぶるなどをしていたため、服用の際の開封に手間取る始末。また、粉薬であるので水分を吸収しやすい為、開封した口から水分が入りかなり服用しづらくなった。詳細は次章に書きたい。

壁の存在について
兎に角今回のあらゆる試行はうまく行きすぎたと思う。想定されたリスクが発生しなかったのはもちろんではあるが30km、35kmの「壁」がなかった。洞爺湖の時も壁らしい壁がなかったようなことを書いたが、道マラでは洞爺湖よりもキツイところがなかったと思う。

先にも書いたが30km以降は関門閉鎖とおそらく訪れるであろう「壁」に怯えつつ、遠慮しながらペースを上げ下げだった。
本当に壁がなかったのかについて少し検証してみたい。
左表は手元の時計で計測したものなので、何カ所か距離表示を見逃している。
見逃した距離表示を分かりやすくするため見逃し表示のあるLAPを赤字で表示した。
したがって、見逃した距離表示のあるところの1kmLAPタイムはその区間の平均となっている。

また、壁の存在を探し易くするため前LAPとの増減率、全区間平均5:39との偏差、コース上の上り(+)下り(-)で符号化、給水所・スポンジ地点を含む区間に○付した。また最下段には1kmLAPタイム・前LAP増減率・偏差についてそれぞれMAX、MINを表示した。

LAPタイムについて上から下に眺めてみると異常な変動を示す区間がある。
・6kmは先にも書いたように5km給水ポイントのある区間で、給水所の混雑によりかなり手間取ったので5:54は妥当な範囲と思われる。
・11~13にも異常な変動が見られる。コース高低図による当区間の傾斜は下りでその勾配はほぼ一定に見える。12kmの表示が実際よりも手前(短く)にあったのではないだろうか?と思われる。
・26~28にも11~13同様の異常変動が見られるが、25~26区間には2カ所の給水地点があることを考慮すると、27kmの表示が実際よりも手前(短く)にあったのではないだろうか?と思われる。
37~39にも同様の疑問がある。36kmの表示を見逃したのが悔やまれるがこの区間のどこかの距離表示に疑問を持たざるを得ない。以上のデータ上の疑問を念頭において「壁」を探してみる。

壁を探す条件として
  • 前ラップ変動が+
  • 偏差も100%を超えている
  • 上記の状態が数キロ(2,3km)続く
と仮定して検索すると下表の通り抽出された。

上記の異常変動のある区間を除くと33,34が該当する(赤で囲っている部分)。
何れも上り区間であるが高低図によれば勾配は一定のように見える。
しかし、前LAP変動率が概ね2%程度と非常に軽微な変動であり、偏差(当LAP/Ave)も3%と軽微なものである。
特に33kmは給水所があり、前LAPタイムは5:36で6秒の増加だ。
また、34km地点については心拍数グラフ「表2」によれば右から6本目の位置に相当するが、この区間は関門閉鎖と「壁」の存在との板挟みの中でペースの上げ下げで揺れる下げの部分に相当する。
したがって、これをもって「壁」だったという判定は妥当性を欠くと思う。
他に前述条件に見合う地点がないことから、最終的に今回の北海道マラソンに於いては「壁」に遭遇しなかったと結論づける。(あったとしても非常に軽微な壁だった)


なぜ壁は訪れなかったのか?
分かりません。
あえていうなら「練習の成果」だったと思います。
いつ現れるか分からない練習を諦めずに続けて来て良かったと思います。
現れない効果に苛つくことはあっても、折れない心で練習を続けて良かったと思います。


唯一の誤算
僕の道マラはすべてがうまくいったと書いた。それは、特筆すべきトラブルがなく、結果として目標を達成できたからだ。

しかし、心拍数水準と速度の関係の見積もりに誤りがあり、当初160なら5:15という見積もりが、結果として平均心拍数160で5:40であった。
この見積もり違いによる「終末車」・「関門閉鎖」と「見えない壁」のせめぎ合いは先にも書いた通りである。
そもそもこの失敗(あえて失敗という)実は心拍数にペース管理を求めていたので時間について全く気にしていなかったことが原因だ。関門閉鎖時間くらいは記憶に留めるべきだったと思う。

昨日(9/4)アスリートの風を観て腰を抜かす。40km関門の話だ。
40kmの関門は3:48:00であるが、これは昨年の緩和措置によるもので、一昨年までは3:45:00だったとのこと。
僕の40km通過タイムは3:45:23だ。一昨年なら断腸の思いでナンバーカードを外さねばならなかった。
一点の曇りもないはずの僕の完走記録が緩和措置による救済によるものだったのだ(号泣)。

そこで、はたと気がつき、僕には「北海道マラソン フィニッシャー」たる資格がないのか?!と思い、トレーニングにあたって自ら定義した道マラ完走の必要な能力を書いた。これに今回の結果をあてはめて自己評価を試みた。

サブ4ランナーであること
3:58:14で文句なし

28分/5kmで走れるランナーであること
×
20km以降全て条件を上回っていた。

31.6~33.7kmを5:42/kmで走れるランナーであること
×
記録の関係で31~34の平均LAP5:43/kmで判定。

常識的な上り、下りのコースで上記のペースで走れるランナーであること
×


25~32℃の高気温でも上記の条件をクリアできるランナーであること
×

1/5で20点ランナーだ...orz
僕は必要な能力を備えていない。「やりよう」によって完走したの過ぎないのだ。

これじゃE判定どころか追試じゃないか!

策士策に溺れる(ぶくぶくぶく...)


2008年の北海道マラソンはいわゆる道マラ日和に恵まれ終わった。

僕の取り組んで来た練習や対策(効率を含む)のほとんどは「フルマラソンでサブ4達成」の為のありふれたものだ。これが北海道マラソンで要求されている要件と寸分変わるものではないと思っていた。

北海道マラソンがランナーへ求めている本当の要求仕様は
道マラ日和で3:56:00で走りなさい。
ということに思い至った。
関門閉鎖時間を観れば一目瞭然だ。28分/5kmで帰って来いということだ。4分はスタート最後尾のランナーへのほんの僅かな配慮であり、僕はその配慮を流用して完走したに過ぎない。

僕は上記の通り「力不足だった」と素直に認めざるを得ない。

そして、僕は今ミスチルのHANABIのPVを観て「決してつかまえることの出来ない...もう一回、もう一回...僕はこの手を伸ばしたい...」のフレーズに号泣しておく。


0 コメント: