心拍計を使っているランナーはどのような目的で使い、活用しているのだろうか?
以前から心拍計を使うことの効用についてまとめたものを書こうと思っていたが、まだ書けていない。それでも、今回は「今のところこんな感じ」という程度だがメモしておく。(記述した内容に間違いがある可能性があることをあらかじめ付け加えておく。)
自分が参考にしている心拍計を使ったトレーニングの目的が具体的に書かれているサイトとして「ON LINE PGT CLINIC」をあげておく。
これはセイコーのパルスグラフという生産中止となった心拍計付きランニングウォッチの利用に関するQ&A形式になっている。
製品が生産中止となったのでいつまでこのサイトが存続するか不明である。掲載されている内容は参考になることが多いのでなんらかの方法でコピーすることを強く推奨する。ちなみにこのパルスグラフはピッチ数もカウントされるランニングウォッチの名機との評判。
上記サイトの中から”フルマラソンの壁に挑むエリートランナーを目指す”「フルマラソンサブスリートレーニングガイド」というのが非常に役立っている。
要約すると
- 心肺機能の強化
- 三種類の脚筋のバランス良い強化
- 効率の良いランニングフォームの形成
具体的なトレーニング方法は上記のトレーニングガイドにも出ているが、一般的に1については「呼吸を追い込んだトレーニングが必要」。2の遅筋の強化については「ゆっくり走る」等が言われている。
平易に「呼吸を追い込んだトレーニングが必要」「ゆっくり走る」等指標っぽいことが書かれているが実はその程度(「どのくらい追い込む」「どのくらいゆっくり」なのか)がまるで分からない。しかも、その程度は人それぞれ個人差があるだろう。
その程度を具体的な数値を指標にして心拍計を使いトレーニングすることが効率のよい方法のひとつになる。
1.自分を知る
まず、現状の自分を知るという意味で心拍計を使う価値がある。
1.1 トレーニング指標算出のため
トレーニングの強弱は「安静時の心拍数」・「最大心拍数」を基礎に計算的に求められる運動強度であらわされる。
これらの自分の基礎数値を把握が必要。
ある定数から年齢を引いて簡易に求める方法もあるがこれでは個人差が反映されないので心拍計を使い下記の方法で計算するのが良いと思う。
- 最大心拍数 = 220-年齢
- 運動強度x%の心拍数の求め方= (最大心拍数-安静時心拍数)×x%+安静時心拍数
尚、安静時の心拍数って疲労との相関関係があって、疲労しているときは高めの数字になるらしい。
1.2 走力把握のため
心拍計をつけて走っていると随分と色々なことがわかる。
- 心拍数155だと4分20秒/kmで走れる。とか
- 心拍数160で1時間走り続けることができるが、1時間以降は160をキープするのが難しい。とか
- 3ヶ月前に心拍数155で5分/kmだったのが、今は4分20秒/kmで走れる。とか
2.トレーニング強度の指標として
例えば、遅筋の強化については「ゆっくり、長く走る」(LSD)が良いとされている。LSDの効果は遅筋の強化だけではないらしい。
では、LSDをしようというときの「ゆっくり」はどの程度の運動強度なのだろうか?どうもWeb上を調べてみると50~60%の運動強度ということになる。
上記1.1のから自分の場合の50~60%の運動強度の心拍数を計算してみる。
- 最大心拍数=220-46=174
- (自分の使っている心拍計にはフィットネステストという機能がある。この機能によれば直近の推定最大心拍数は171だった)
- 安静時の心拍数=41(実際測定値)
- 運動強度50%の心拍数の求め方= (最大心拍数-安静時心拍数)×50%+安静時心拍数
- (171-41)×50%+41=106
- 運動強度60%の心拍数の求め方= (最大心拍数-安静時心拍数)×60%+安静時心拍数
- (171-41)×60%+41=119
この心拍数のレンジで走るとどれくらい遅いか、心拍計を使ったことの無い人には絶対にわからない。と断言する。
ジョギングの最適心拍数もしかり。
3.心拍数で管理するトレーニングの効用について
2.の後段で例示した通り、トレーニングの目的に合致する「運動強度」というものがある。
ジョギングにはジョギングをする目的があり、スローペース走にはスローペース走の目的がある。多くのランナーはジョギングといいつつ「スローペース走」の運動強度で走っているのではないだろうか?
人間の感覚なんて外的要因(健康状態、気象状態、走路状態等)に左右されがちだと思う。
心拍数を管理しトレーニングをすることは「簡単に目的に沿った運動強度でトレーニングができる」ということだと思う。
4.心拍計を使ったトレーニングの方法
具体的なトレーニングの目的と方法については、冒頭にあげた「ON LINE PGT CLINIC」の各ガイドを参考にしている。
トレーニングの目的に応じた「運動強度」はWeb上を探すと比較的簡単に情報を得ることができる。
マラソンのトレーニングは冒頭の2にあげた通り、三種類の脚筋をバランス良く強化することを求められる難しいトレーニングだと思う。
バランス良くトレーニングできているかは心拍計に付属する各種のPCソフトウエアを利用して確認(前出:「フルマラソンサブスリートレーニングガイド」に例示がある)しながら、柔軟な計画変更をも視野に計画的なトレーニングスケジュール作りも必要だろうと思う。
4.1 運動強度に対する心拍数の把握
以下は自分の実施している内容。一応、現時点での内容ということでメモしておく。
トレーニングの内容を分類(カッコ内は運動強度)し、
- LSD(50~60%)
- Jog(60~70%)
- スロー ペース走(70~80%)
- レースペース走(85%前後)
- ハイペース走(90~95%)
もちろん、これらのトレーニング内容が「どこを鍛える為にやるか」を自分自身が理解しておく必要がある。
4.2 トレーニング記録のストックとその活用
上記によりバランス良くトレーニング計画を作り、実施したトレーニング記録をストックする。
心拍計からの事実としての数字はもちろん、トレーニング後に気がついたこと、感想等の「感覚的な要因」もメモとして記録しておくべきだ。
4.2.1 日々の反省
経験上、日々のトレーニングでトレーニング目的に応じた心拍数が実施できたか確認するべきだと思う。
特に運動強度の低いトレーニングの場合、ついつい目標心拍数を上回る結果になる。
レシーバーの機能を使いアラームが鳴るようにセットするのも良い手段だと思う。
4.2.2 定期的な反省
トレーニングデータがストックされてくると週に一度、月に一度程度はトレーニング計画の確認・修正の意味でトレーニング記録を眺めてみる。
トレーニング記録の解析は心拍計についている専用アプリケーションソフトウエアを使うことになる。
分析、解析ソフトウエアにより「バランス良く」トレーニングができているかの確認を行い、必要ならば今後のトレーニング計画を変更することになる。
バランスの確認に当たっては色々な切り口(トレーニング時間、心拍領域別時間、距離と平均心拍数等)から検討できるようにPCソフトウエア分析してくれるので、それを活用している。
事実としての数字が蓄積されてくると「どの領域(心拍数)でのトレーニングが不足しているか」等が一目で分かるようになる。
左はここ3ヶ月間の自分の記録から「心拍領域別のトレーニング時間」を運動強度で色分け表示したもの。
一目で分かるのは左側のほとんどが「赤」の領域(レースペースより強い強度)。丁度この時期は十勝健康マラソンに向けて「スピードを付けたい一心」だったので、こうなってしまったと思う。大会の結果は終盤スピードを維持できず「小撃沈」したのは記憶に新しい。
十勝健康マラソン後(グラフ右側)は、フルマラソンに向けて持久力をつけるべくトレーニング計画を変更した結果があらわれている。その効果があったのかは定かではないが「釧路湿原マラソン」では後半の落ち込みを防げたのではないか?と良い方に理解している(笑)。
また、日々のトレーニング後の「感想」等のメモは
- 疲労の蓄積
- 故障の予兆
- 今後のトレーニングへのヒント
5.専門家のアドバイスが欲しい
自己流のトレーニングをしていてもある程度の目標までは達成できるだろう。
本当はトレーニングデータを送って、トレーニング計画を作ってくれるサービスがあればいいのだが...
あるにはあるが、有料サービス。しかも、結構高価だったりする。
どうしたもんかのぅ...
---20080810
まだなにもまとまったものになっていないが、今日はこのくらいで勘弁させてもらう。
2 コメント:
なるほど。本当に勉強してトレーニングに打ち込んでいるのですね。今後参考にさせていただきます。タイムリーな情報をありがとうございました。
勉強といわれると恥ずかしい感じがします。
ただ、闇雲に走っていても速くなれるでしょうが、私も経済人の端くれ、時間に制約があるのでトレーニング効率を考えたほうが良いかと思い、いろいろ調べたりしています。
掲載したグラフにも如実に現れていますが、私のトレーニングは「偏る」傾向があるようです。(頑張り走ばっかり、とか、ゆっくり走ばっかり)
日ごろのトレーニングはもう少し短期間(1週間単位)でバランスを保った方がいいような感じがします。
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