自分は、いわゆる Running Computer というやつを下記の二つを使っている。
S601iが「心拍数ベース」、FR201が「速度ベース」のRunning Computerと位置づけできる。
いずれのRunning Computerも今年になって入手したものだが、もともと心拍計は持っていたしGPSも持っていたので、S610iやFR201の本質的な機能の特性は 知っていたつもりだ。そういう環境の中で今年春にS610iを入手、その半年後に縁あってFR201を入手した。
- Polar S610i
- GARMIN Forerunner 201
いずれもPCへデータを転送可能な機種であり、データを蓄積、表示、分析するソフトウエアがある。
これからRunning Computerを入手しようとする人にどのようなRunning Computerを推薦したらいいかハードウエアの側面と、ハードウエアの側面からも自分の利用経験を踏まえて考えてみた。
一、S610iについて
「心拍数基準」か「速度基準」か、どちらを選ぶかは「トレーニングの考え方」に直結するような話になってしまって詳細は長くなるのでここでは割愛するが、一言で言えば「心拍数ベースのトレーニングの方が安全で効率の良いトレーニングが可能」と判断したからだ。
そして、数ある心拍計の中からなぜ Polar S610i(「心拍数ベース」) にしたかというと
- 心拍計ではトップブランドのPolarの製品であること
- 心拍データをPCに転送し、記録を残せること
- 製品に付属する「Polar Precision Performance SW」(蓄えた記録を分析するソフトウエア)が秀逸であること
- ichanさんが使っていたこと
- 中古でたまたま安く買えそうだった
があげられる。
1については、ブランド名によるハードウエアへの信頼度に直結する部分があるが、今思えば自分が使うようなレベルではどのメーカーも精度・耐久性に大差はないと思う。ただ、ブランド力、特に心拍数と運動との相関関係についての調査・研究は相当のもののようで、3の開発にそのノウハウが反映されていると思われ、やはり「さすが、Polar!」と思わせる(これは、使ってから分かったことなので、選考基準とはいえないな)。こうしてみると購入時にS610iに機種を選定した本当の理由は2と4と5だったということになる。
2は絶対条件だった。4は製品への安心感を補完し、5は直接のきっかけだったかもしれない(新品を購入するにはかなり高額)。(なので、懐具合がゆるしデータがPCへ転送できて、データ蓄積・分析できるツールのある心拍計ならノーブランドでも買っていたかもしれない。)
2が絶対条件だったのは、データがPCに転送できれば「それが練習日記」になるし、データがあればなんらかの方法で分析のまねごとができるからだ。
結果として、Polar S610i を入手したことは「大正解」だった。
(イ) S610iのデータ活用
詳細は長くなるので、過去に書いた「
心拍計を使ったトレーニングについて考える」を見てもらいたい。
特に「4.2 トレーニング記録のストックと活用」以降に「Polar Precision Performance SW」(蓄えた記録を分析するソフトウエア)を使って、蓄積されたデータから自分なりに分析の真似事をした形跡がある。
「Polar Precision Performance SW」はトレーニング「期間」のデータ分析に適していると思う。
(ロ) 今後S610iをどう使うか?
S610iでできることは「心拍数」のリアルタイム表示とその記録だ。自分は心拍数ベースのトレーニングの安全性、効率性に期待しているので、今後もS610i中心のデータ蓄積、分析になると思う。
特にLSDは運動強度50%前後というのが相場(そのように理解している)のようだから、心拍計でしっかり管理しないとできないトレーニングだと思う。
データの蓄積、分析は、左の通り「Polar Precision Performance SW」の起動時の画面はカレンダー表示となっている。
一番右側には一週間のトレーニング時の心拍数ゾーンの週計が色分けで表示されている。
この表示を使い「週間」レベルで意図したトレーニングができているのかを確認すれば、不足領域を補うなど練習メニューの変更も柔軟にできるのではないだろうかと期待している。(実は今年、こういうウィークリーの反省がまったくなかった。なんの為のデータ蓄積なんだ!というお叱りはごもっとも...)
30km以上のレースでは、自分の持っている不確かなリソースを最適に分配するという意味(具体的には前半のつっこみを防止する意味で「心拍数」で管理した。)で非常に有用だったと思う。
二、FR201について
FR201は詳細は長くなるので割愛するが、一言で言えば「縁あって安価で入手できる機会に恵まれた」ということに尽きる。
そもそも自分は先にも書いたようにトレーニングに関しては「心拍数基準論者」なので、FR201の最大のウリである
にはほぼ興味がなかった。
ただ、GPSは持っていたので走行に関するルート、距離、区間タイム等がカシミール3DやSportTrack、Google Earthで表示できることは知っていたし、この機能はとても面白いのだ。FR201はGPSのデータに加えて自動ラップ機能により「区間タイム」が記録され、それらのデータがPCに転送可能で、蓄積・分析もできる。
実際にこのRunning Computerを使うとハマル。面白すぎる。特にこのデータをSportTracksやGoogle Earthに取り込むと空中写真上に走ったルートが表示されるのは気絶するほど面白く感じた。
結果として、FR201 を入手したことも「大正解」だった。
(イ) FR201のデータ活用
地図情報にルートを投射できる機能は面白いんだが、トレーニングデータの分析に関してはちょっともの足りない。
詳細は「
Forerunner201の活用方法-トレーニングログ管理-」の中段以降を見てもらいたい。
FR201のデータが使えるソフトウエアはどれも「一日」のトレーニング分析には困ることはないが、期間集計を多角的に分析するというのができない(ような気がする)。
(ロ) 今後FR201をどう使うか?
走ったところがビジュアルにトレースできる機能は絶対に捨てられない。距離の分からない場所を走る時には左腕に巻いておきたい。
運動強度の「心拍数」は速度に直結しない。運動強度が予定通りの強度であっても狙い通りの速度は出ない。そこで、FR201の最大のウリである「速度、距離のリアルタイム表示」を生かして、タイムトライアルやインターバルトレーニング(疾走部分の速度管理)に使いたい。
また、FR201のリアルタイムに表示される「速度(ペース)」はハーフ以下のレース(自分の場合)で「記録狙い」のためには非常に有用だろうと思う。
ただ、いずれの場合であっても基本はあくまで「心拍数基準」なので(私的に)、心拍計との同時併用となると思う。
三、FR305について
これは使ったことがないし、実物を見たこともない(汗)。
機能的には心拍計のS610iとGPSのFR201を合わせたものだろうと推測している。
同じように二つの機能をあわせ持ったFR301(ForeAthlete301)というのがある。
Webであちこと風評を見る限り305は形状、衛星捕捉についての評判が良い。
なにせ使ったことも見たこともないので、これくらいのことしか書けない。
Fr201ユーザーならFr301について、特に不満はないような気がする。衛星補足能力は201と同じはずだし、文字通りFr201+心拍計の機能になる。また、Fr301の実売価格は4万円程度みたい。
四、 結論
ハードウエア的にはS610iとFR201は相互に補完しあいながら、それぞれが異なった特性を有している。そして、これらのRunning Computerは「遊び心」を十分に刺激してくれ、ランニングライフの楽しみを増やしてくれている。
いずれの特性も甲乙付け難い。
したがって、ハードウエア的には両方の機能を兼ね備えた「
Forerunner305」ということにする。(使ったこともないくせに!という批判はあるだろうけど(汗))
201、301などで衛星を見失い測位できないことが多かったらしいが、205、305はかなり改善されたらしい。また、形状も201、301とは異なり「腕時計」に近づいた形状になった。
衛星の補足が不可能でも心拍計機能やストップウォッチ機能が使えなくなるわけでもないので、トレーニングには特段問題ないように思う。
ただし、ソフトウエアについてはPolarのPPPSWが秀逸だ。やはり、心拍数と運動能力についての研究成果に一日の長がある。
ソフトウエアは日進月歩の部分もあり、いずれSportTracksあたりが心拍数ゾーンを期間集計する機能が付かないとも限らない。期待したいものであるが、その実現性には疑問があると申し上げておく。
すでにS610iまたはFR201等のどちらかをお持ちの場合は
を追加でご購入なさっても十分にその期待に応えてくれるものと思う。当然ながらデータが蓄積できて、それをPCに転送できるものがお勧めだ。
参考までにお値段(標準価格)は下記の通り
| Polar S610i | Forerunner 201(ForeAthlete201) | Forerunner 301
| Forerunner 305 |
本体価格 | 34,650 | 18,900(27,800) | 29,800
| 52,800 |
必須オプション | 8,925 | 7,000 | - | - |
価格はショップによって幅がある(ForerunnerとForeAthlete(日本語版)でもファームウエアの関係で後者が若干高価)。また輸入過程における保証関係(自社保証やメーカー保証等)によって若干異なるようだ。一番安いショップを探しても「保証」も考慮しないと、手続きが面倒だったり、修理が高価なものとなったりするので注意が必要かもしれない。上記の価格は「標準価格」を中心に自分が私的に調査した結果なので、この値段で買えないケースもあるかもしれない。
必須オプション S610iはPCへのデータ転送インターフェース(IrLink?)必ずしも、メーカー指定のものでなくても良いと思うが動作保障できるUSB IrDAアダプタに関する情報は多くない。自分の経験をここに書いた。
必須オプション FR201はシリアル接続仕様なので、シリアル > USB コンバータがほぼ必須。これもメーカー?の推奨のものでなくても動く、自分の経験では次の二つが動いた。
・Keyspan の USA-19
・ELECOM UC-SGT
価格的にはFR305が経済的なんじゃないかな?
Fr201ユーザーなら、Fr201をネットオークションなどで売却し、29,800でFr301を購入するってのもいいかもしれない(かなりスリリング)。
五、 S610iとFR201の弱点
弱点を後出しにするのはナニだが、いずれのRunning Computerも弱点があっても「有用性」が高く、評価に影響しないとの判断から参考としての記録にとどめる。
S610iこれといった弱点は見当たらないが、本体について二つ。トランスミッターに一つの弱点がある。
本体
電池はいわゆるボタン電池。毎日2時間トランスミッターとの通信しても2年持つらしいのだが、電池交換に際しては、防水パッキン及びその他の機器点検のためサービスセンターに直送が推奨されている(作業日数 7~10日だったかな?)。
で、実際に使っている感想を書くと当初と比べて各種ボタン(全部で5箇所)がきつくなっているような、接触不良なような感じでボタンを押しても反応しない場合がある。
防水(防滴)機能については問題なし。
トランスミッター
電池はいわゆるボタン電池。2500時間もつそうだ。一日2時間毎日使ったとしても3年半くらいはもつ勘定だ。
まぁ、これはつきものみたないなもので「ズリ落ち」問題がある。ゴムひもなどでブラ風にすると改善されるので、興味のある方はこちらへ
FR201防滴機能はあてにならない。詳細は「
ショック!!-Forerunner201-」の通り。
FR305もっていないので、詳細は分からないが防滴機能についてはFR201と同じ規格なので同程度の防滴と思われる(要注意か?)。
心拍計&GPSの複合機なのでトラブルが多いのではないか?という疑問は否定できない。
トランスミッターの電池はいわゆるボタン電池。一日1時間の利用で3年もつそうです。(尚、本体は充電式電池)
FR305(FR301)以外の場合は心拍計、GPSの二つのレシーバーを腕につけることになる。自分はS610iを右手首、FR201を左手首につけて走っている。あんまし格好いいもんじゃないような気がする。
六、他のRunning Computerについて
Nike+とかあるけど、どうなのかな?iPodとの連携だから「走るときは音楽がなくっちゃ!」という人は、これが一番良いかもしれない。
でも、自分的には興味がないなぁ...